「ATRN」さんの単独沖縄クルージング最終回 宮崎県~大阪 9月11日~14日
思いもかけぬ体調不良にみまわれた「ATRN」さん。
それでも、何とか出港しようと向かった川南漁港の堤防から見た海は・・・
連続で押し寄せる恐ろしい大波の迫力に・・・
じっくり体を休める事に専念しました。
二日間の足止めで体調を整え出港した「ATRN」さんを待ち受けていたのは・・・
またもや、大荒れの豊後水道でした。
やっとのことで、佐田岬を回り込み瀬戸内海へ・・・
最近、Googleで所在地が明かされたダッシュ島を横目に先を急ぎます。
瀬戸内に入っても、まさかの大時化。
昨年お世話になった多度津で仮眠を取って、やっと大阪へ帰ってきました。(ほんとタフな方です。)
大航海を一人で成し遂げた「ATRN」さんの一言・・・
複数で行けば旅 単独で行けば冒険!
ヤマハDFRの耐久テストとも思える今回の大冒険が完結しました。
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川南漁港を越える荒波
9月11日
04:00 起床する、体調はよくないが出航する事にし、ホテルをチェックアウト。 タクシーで川南漁港に向かう。
途中運転手さんが「夜中にゴーと大きな地鳴りのような音がしていたので、海は荒れているかもしれない」と聞かされる。
昨日の大荒れよりはマシだろうと思っていました
05:00 出航準備を整え、漁船が出航していくのを待つ 計器類もレーダーも異常なしです。
05:30 DFRよりひと回り大きな漁船が1隻出航して行った。
係留ロープをほどき、出航しようとすると、 この漁船が漁港に戻ってきた。 この間3分程。
漁船が岸壁に係留されたので、海の状況を聞くと・・・
「沖が昨日より大荒れになっているので、出ないほうがいい」と・・・
「川南漁港から沖まで遠浅が続き、大きな波でひっくり返される」と・・・
漁師の方はどうしても網を引き揚げに行きたかったらしい。
台風のうねりで底の網が絡まってエビとか魚が死んでしまうらしい。 その後、1隻も漁船が出て行く事はありませんでした。
06:01 川南漁港の防波堤を荒波が超えてきます。
朝日が昇るまでわからなかった。 暗いうちに一人で出航しなくて良かった。
連続で押し寄せる大波
06:10 海の状況を自分で確認したくて、防波堤まで歩いていく。
これは無理だ。台風17号のうねりが本格的に押し寄せている。
大きな波が連続で押し寄せている。 海を見ているだけでも怖い、無理に出航しなくて良かった。
昨日より荒れている予報で、波が3.5メートルから4メートルのうねりをともなう波となっている。
波の周期も長い。 沖に出れば、高低差のある大きな波になっているものと思う。
大阪湾では、せいぜい1.5メートルくらいの波なので、3メートルを超える波は別世界で恐怖です。
台風17号ははるか関東の沖を通過しているので、大丈夫だと思っていたが・・・
こんなに遅れてうねりが到達するとは思ってもいませんでした。
急に発生した18号よりも17号の影響を受けるとは 想定外だ。
マグロ漁船とDFR
10:38 川南漁港に許可を得て停泊させていただいた場所。
マグロ漁船とDFR。
このマグロ漁船でも、今の波の状況ではしんどいらしい。 手前にも何隻かマグロ漁船が出航できずに待機している。
11:00 出航する事が出来ないのなら、思いっきり寝て体調を整えようと、もう一度ビジネスホテルに戻り宿泊予約をする。
気象情報では今日、明日と海が荒れるらしいので、ホテルに連泊する事にします。
出来れば穏やかな海況で帰りたい。
9月13日
09:00 起床 体調が良くなりました。厚着をして汗を出したのが効いたようです。
これなら松山堀江海の駅まで走れそうです。
堀江海の駅には、川南漁港に到着する前から、電話にてビジター利用の予約をしていました。
今日、堀江海の駅まで行き、一晩泊まって明日の朝大阪に向けて出航する予定です。
予定が数日遅れた事をお詫びし、今日の夕方には到着する予定と電話連絡を入れます。快く受け付けていただけて良かった。
ビジネスホテルをチェックアウトし、タクシーで川南漁港に向かう。
ホテルから出ていないので、ボートの係留が心配だ。 特に干満の差で船体にダメージがないか心配です。
根元から折れたTV
09:43 ボートはどうやら無事に接岸されていました。
干満の差の影響も大丈夫なようです。
係留ロープを何本もとっていたので安心です。 中島さんがロープを余分に積んで下さって助かりました。
宮崎沖のうねりのある波で、船体が激しく揺られ、テレビが根本から折れてしまいました。
テレビ台の下はPRO-7で固定していたので、テレビ台が外れる事は無いと思っていたが・・・
まさかテレビ台が折れるとは思ってもいませんでした。
さよなら川南漁港
10:12 お世話になった川南漁港。
ここも良い漁師さん達ばかりでした。お世話になりました。
恐怖のテトラとテトラ
10:15 天候は快晴で波も穏やかそうです。
この先に見えるテトラとテトラの間が大荒れの時に、めちゃくちゃ狭く感じました。
真ん中の真ん中を通らないと、波でテトラにぶつかりそうな感じになります。後ろから波に押されるので、恐怖でした。
晴れている時は広く見えますが、曇って海が荒れている時は狭く通りにくい。
ベタ凪
10:17 ベタ凪のようだ。2日間待って良かった。
日向沖
11:03 日向市沖辺りから、北風が吹き出し・・・
白波が目立ちはじめる。
またですか・・・
延岡市沖
12:44 延岡市沖を超えた辺りから速力が7ノット程度しか出せない。無事に豊後水道を通過できればいいのですが・・・
ついには5ノットを切る速力になる、進んでるか進んでいないかわからない程の速力です。
松山に到着する時間を計算すると、余計に不安になります。
海は白波で真っ白になり、波が大きくなっています。
正面から波を受ける感じなので、毎回波をかぶっている状態になる。
ワイパーが役に立たない状況なので、 ワイパーを使わなくなる。
正面からフロントガラスに波をかぶりっぱなしになると前が見えないので凄く怖い。
こんな時、もう一人いたら心強いだろうと思う。 荒れた時の単独は本当に怖い。
ここでマリン大阪の中島さんから連絡が入り、豊後水道が荒れて怖いと告げる。
今現在のこのあたりの海況や天候などを調べてもらうように中島さんにお願いする。
中島さんから直ぐに連絡が入り状況を教えていただくと・・・ 今、前線の通過するところを走行しているらしい。
前線が15時前後くらいに南下して通り過ぎるようである。
その後は佐田岬を超えて瀬戸内に入ると、西風になるので、背中から押されるから大丈夫だろうとの事。
中島さん、いつも頼りになります。 その情報が聞けただけで少し安心。
見えてきた佐田岬
15:48 佐田岬が見え始めてきた頃に、速力15ノット程度まで出せるようになります。
佐田岬
15:58 佐田岬周辺では速力10ノット程度になる。佐伯沖あたりの5ノットに比べればマシです。
無事に佐田岬を通過する事が出来た。豊後水道・佐田岬 結構難所です。
ダッシュ島
18:01 伊予沖を通過 佐田岬から2時間程かかっています。
真ん中にある黒い島二つがTOKIOのダッシュ島だ。
島に近づいてトロッコの線路を撮影して帰ろうと思っていましたが・・・
豊後水道で大荒れになってしまい、ダッシュ島に行く時間が無くなってしまった。 残念。
それよりも日が暮れてきているので、早く港に入らなければ・・・
暗くなってから知らない港に入るのは怖い
松山海の駅で給油をする事が出来ずに、急きょローリーで配達してくれるガソリンスタンドをiphoneで探す。
すると松前港にローリーで配達に来てくれるガソリンスタンドが見つかった。 良かった。
接岸給油
18:41 ギリギリ暗くなる寸前で港に到着。 タンクローリーは到着して待ってくれています。
ここでトラブル発生!
着岸しようとするとバウスラスターからモーターのうぃ~んって音しかしない。
なにかゴミでもつまっているのかと・・・ スラスター使えなかったら嫌だなぁーとしぶしぶ接岸する。
ここで中島さんから定期連絡。
中島さん、いつも給油の時に電話くれましたね?どっかから見てました?(笑)
給油中
18:43 沖縄航海最後の給油です。
11度目の給油.。405リットル給油です。
松山興産株式会社まさきSS 089-984-1223
松前港まで来てくれます。 最後の給油も一滴もこぼさずに無事給油。
松山市松前港
18:44 松山市 松前港です。
ここで時間も遅くなり、スラスターも故障している為、海の駅堀江に連絡し大阪に直接帰りますと連絡を入れる。
何度も予定が変更になり大変申し訳ございませんでした。 スタッフの方が快く了解していただけた 有難うございました。
明日の9時に大阪ポートマリーナで中島さんと待ち合わせしているので、 今から走れば余裕で着くはずだ。
レーダーを動くようにしておいて良かった。
沖縄沖と違い、瀬戸内はレーダーが絶対に必要だ。
航行しているフェリーや貨物船、 停泊している貨物船や漁をしている漁船など様々です。
航路近くで停泊している貨物船が結構います。
松山市沖を無事に通過し、斎灘あたりで貨物船の後ろを走ります。
この貨物船の後ろを走り、来島海峡を抜けよう。
そして方向が同じならば大阪まで走ろうと思った。 海況は非常に穏やかだ。
来島海峡
20:53 貨物船の後ろを走り来島海峡を走る。波も穏やかで走りやすい。
その後しばらく一定の間隔で走るがボートのローリング横揺れが始まります。
貨物船の波にのっているのかと最初思っていたが、横波がきつくなりはじめます。
同時に北風が強烈に吹き出す。 丁度、備後灘に入ったところくらいだったと思う。
必死に貨物船の後ろギリギリまで近づこうとするが、速力が出せずに一度貨物船から離されます。
後ろから続々と貨物船が来ているので、次の貨物船について行く事にしました。
22:30 貨物船の後ろをついて行くが、たまに貨物船に離される。
横波を受けながらの夜間航行も恐怖を感じる。
左舷から横波をかぶっている。 まさか瀬戸内海でこんな状況になるとは想定していませんでした。
貨物船の後ろを走っているので、変な波にのって横転しないかだけが心配でした。
貨物船から乗組員が時折こちらを見ているのが分かりました。
海賊船じゃ無いですよ~なんて心で思いながら・・・
横波を受ける恐怖でハンドルを持つ手はガチガチに強く握っている。 「びびってるなぁーと」
貨物船から少し離れると、貨物船の高い場所にあるランプを点灯させていた。
船尾灯なのか? 何か意味があるのかと思っていると、貨物船から離れた時に点灯していた。
こちらのボートに貨物船の位置がわかりやすくする為に点灯してくれているようだ。 これには助かりました。
しかし貨物船も横波で大揺れだった。
海は急に天候が変化する 荒れるのは早いが、穏やかになるのは遅い。
これだけ荒れて怖いはずだが、徐々に睡魔が襲う。 風邪薬を服用しているせいなのか猛烈に眠たくなります。
これ以上走ると危ないと判断。
丁度、香川県付近を走行中であり、以前金毘羅詣での時にお世話になった合田マリンさんがある。
直ぐに電話連絡を入れると、この遅い時間に繋がった。 良かった~。
多分、娘さんが電話をとってくれたのだと思う 本当に有難かった。
状況を説明すると快く入港可能との返事。桟橋は以前に接岸した事があるので大丈夫ですと伝える。
9月14日
01:00 多度津沖で貨物船と別れ、合田マリンさんへ入港。
無事に桟橋に接岸し、船中泊。 「疲れたー」 マリーナの中でも波を感じるが一瞬で寝る事が出来ました。
あさがきた
05:14 起床 4時間程寝れて良かった 体調も良い
合田マリン桟橋
05:18 沖縄のお土産を持って、合田マリンの社長様へご挨拶。
また今回もお世話になりました。
社長さん朝早くから有難うございます。 また金毘羅詣でに行きますので、 その節には宜しくお願い致します。
05:20 社長さんが桟橋まで見送りに来て下さいました、バウスラスターの音を聞いてもらうと・・・
プロペラが無いんじゃないか?との事。
合田マリンさん、お世話になりました。 有難うございました。
夜明け
05:26 体調も万全、ボートも異常なし、 後は大阪までノンストップです。 なんとか無事に大阪に辿りつきたい。
瀬戸大橋
05:52 瀬戸大橋無事に通過。
小槌島
06:02 瀬戸大橋を超えてからは凄く走りやすい(右前方:小槌島)
屋久杉コースター
08:32 大荒れの時にお祈りをしたTさんからいただいた屋久杉のコースター。 お守りです。 何度も助けられました。
播磨灘で北風が強く荒れだすが、15ノット程度で走れる。
明石海峡大橋を超えると、 波も穏やかになり、いつもの大阪湾の茶色い色です。
茶色に濁ってる海を見てなんだかほっとします。
「大阪湾に帰ってきたんやな~」と・・・
09:46 大阪ポートマリーナに無事到着。 「無事に着いた 良かった~」
マリーナ桟橋では中島さんが笑顔でお出迎え。なんだか懐かしい感じがする。 中島さんお出迎え有難うございます。
沖縄航海から帰ってきたら、ボートの総点検をしようとポートマリーナにて上架していただきました。
そして陸に上がったボートを見てビックリ!
スラスターのプロペラないです。こんな程度で済んで良かった。
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沖縄航海無事に終了 目的達成!
感想は・・・
「怖かった 遠かった 疲れたーです。」
想定していたトカラ列島や沖縄周辺で荒れず・・・
屋久島や種子島海峡、大隅海峡、日向灘、豊後水道、備後灘で荒れるとは、本当に想定外でした。
しかし無事に目的を達成し、大阪まで辿りつけたのは運が良かったのと・・・
DFRの走破性。故障する事なく走りきったタフで強いエンジンのお蔭であったものと思われます。
そして色々な人達に助けられた事も本当に大きかったです。
当初予定に無かった屋久島に立ち寄る事。
島の人達と友達になれた事など運命的なものを強く感じました。
屋久島で始まって、屋久島で終わったような印象が強いこの沖縄航海でした。
ボート初心者の無謀な単独航海でありますが、達成できて本当に良かったと思います。
初めての沖縄、初めての岸壁給油、初めての夜間航行、 初めての外海、初めての台風のうねり、初めての長時間航行。
初めてだらけでしたが、凄い経験をさせていただきました。
そもそもこの沖縄航海に行く事になったのは、大阪ポートマリーナの社長さんが島唄を歌われると聞いていて
久しぶりに、♪島唄♪を聞こうとyoutubeで検索すると・・・
島唄の歌詞には裏の意味があると・・・
その裏の意味を知るうちに、「どうしても ひめゆりの塔に行き拝んでみたい」と、そんな単純な動機でした。
ひめゆりの塔の件が無ければ、沖縄航海を決行する事は無かったと思います。
沖縄糸満・・・「遠かったです 生きて帰ってこれて良かったです!」
使用燃料 軽油4580リットル
複数で行けば旅 単独で行けば冒険!
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10月17日 屋久島再訪!
1か月ぶりに、飛行機で屋久島の仲間に会いに行きました。
飛行場まで迎えに来て下さったTさんとNさんに再会 有難うございます。
屋久島で沈む夕日。
気の合う仲間と 楽しかったです~
楽しい仲間と美味しい料理。
やっぱり鹿肉の刺身が最高ですね。 この後、生レバーもいただきました。
何度食べても、美味しい 絶品です。 Tさん、いつも有難うございます。
初めて訪れた栗生港入口の砂浜。
退避する時に手前の川に入らなくて良かった~間違いなく座礁していましたね。
口永良部をバックに仲間と・・・(西郷さんも上陸しているんですね。)
Tさん、I さん、Nさん達と、年代は違えど気が合うんです。
本当に不思議な方達です。心より感謝しています、有難うございました。
また行きます。 屋久島! 飛行機で!✈
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最後まで根気強くご覧頂いた皆様、誠にありがとうございました。
沖縄クルージングのご参考にして頂ければ幸いです。